源氏物語から現代を紐解く・二十六帖 常夏(とこなつ)

 撫子

常夏題名の由来

「撫子(なでしこ)」は古くは「常夏(とこなつ)」と言われていました。この帖は撫子に由来します。

源氏が若い時の話で「雨夜の品定め」の帖に、頭中将(現・内大臣)は子供が出来ながら突然いなくなった夕顔の話をします。玉簾は内大臣と夕顔の子供です。夕顔は常夏とも呼ばれ、その子は撫子と呼ばれています。

(夕顔・頭中将(内大臣)への手紙)

「山がつの垣ほ荒るともをりをりにあはれはかけよ撫子の露」

夕顔:(卑しい山里の人の私の家の垣根は荒れていますが、時々はお情けの露をかけてください、この垣根に咲く撫子のような幼子ぬは。)

頭中将:「咲きまじる色は何れとわかねどもなほ常夏にしくものぞなき」

(いろいろ咲いている花はどれが美しいと区別がつかないけれど、やはり常夏ー妻であるあなたに及ぶものはありません)

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常夏のあらすじ

*現代は地球温暖化が進み暑さ厳しい夏となっていますが、平安時代も気温が高く、現代と同じような気候だったと言われます。とりわけ京都は盆地で暑さ厳しい所ですね。

源氏は暑さ厳しいなかで、涼を求めて息子の夕霧たちと共に六条院の東の釣殿(ツリドノ)で涼んでいます。

そこに内大臣家の子息たちがおとづれて来ましたので、西川(桂川)でとれた献上の鮎などを料理させて味わっています。お酒を飲みながら氷水を取り寄せ水飯などもありにぎやかに、風も通り涼しくすごしています。

*京の当時の食料事情は、魚などは塩漬けなど保存が出来る加工食品が主で、生鮮なものはありませんでした。そこで京に流れる桂川や鴨川などの漁業権は朝廷が独占し献上させていました。保存食から、鯖寿司や琵琶湖の鮒ずしなど発酵食品も作りだされていきます。

*その献上品の鮎などを源氏は大政大臣の身分を利用して鮎などを入手していたようです。源氏の権威が象徴されています。

*平安時代の調理は蒸す、煮る、焼くと言ったシンプルな調理方法ですが、京料理や和食などに発展するルーツが見えてくるようです。

*氷水とは冬に山中に深く穴を掘り氷を保管する「氷室」の中の氷で、その水をかけて食べるご飯が「炊飯」です。地名や苗字でも氷室がありますが、このことからつけられたものです。

*源氏物語を読みながら厚い夏に京料理を食されるのも良いかと思います。

 平安時代の料理風景

宴は盛り上がっていきます。源氏は内大臣家の子息たちに噂話の真相を聞きます。

内大臣はよそでできた娘(近江の君)を探しだし大事にされているようだがと問ます。この娘・近江に君は無教養な娘であるらしいことがわかる。

内大臣の隠し子を探し出し世話をする動機は、それぞれの子供である夕霧と雲居の雁の恋愛のいきさつとする確執を原因として、源氏が育てている玉鬘に対抗して探しだした娘です。*内大臣は玉鬘がまだ自分の娘とは知っていないのです。

源氏は玉鬘に和琴の演奏の手ほどきをおこなっています。玉鬘に夕霧(息子)と雲居の雁(内大臣の娘)の恋愛のいきさつなどを語ります。玉鬘は源氏と実父の内大臣の間のしこりを感じながら、同時に和琴の名手である内大臣の演奏を聞き、出会いたいと思います。

内大臣は、近江の君の無教養に困惑するのですが、教育を弘徽殿の女御に託します。近江の君は屈託のない様子で珍妙な歌をつくり失笑買ったりしています。

*源氏物語唯一、笑いがとれるキャラクターとして近江の君の登場です。

*源氏物語は紫式部によつて公家社会の微妙な人間関係が現わされている物語ですので読み通すとその微妙な人間関係が面白く思います。

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