源氏物語 ・匂兵部卿を読む

源氏物語・ 匂兵部卿

この帳まで読み進めてきて世の中の移りかわりを感じます。

四十二帖の「匂兵部卿」の前は「雲隠」のタイトルのみが記載され、源氏の死亡の状況は書かれていませんが、光源氏は出家し嵯峨に隠棲し2から3年後に亡くなっています。

物語は世代交代で登場人物はかわっています。

四十二帖の「匂兵部卿」では源氏の長男の夕霧も40~46歳になり、物語は夕霧の次の世代に大きく移っています。

源氏の亡くなったあと、六条院は端やかさがなくなり、人々は以前のような華やかさを求めて、源氏の後継者は匂兵部卿と薫だと噂して、人々は光源氏時代の華やかさを求めているようです。

*薫は面向きは源氏と女三宮子供となっていますが、実は柏木と女三宮の不義により生まれた子供です。

*匂兵部卿の母は明石の中宮で源氏の外孫に当たります。

「匂兵部卿」のあらすじ

「幻」から八年後、薫14歳から20歳までの話。
光源氏亡き後、その面影を継ぐ人はいなかった。長男・夕霧は面影こそ源氏に似てはいるが、若い頃から変わらず真面目で律儀な性格である事から、「やはり 殿(源氏)とは違う」と女房も語るほど。先の帝・冷泉院こそ「亡き殿に瓜二つ」との声もあるが、先の帝であることから口にすることも恐れ多いと憚られていた。ただわずかに今上帝の三の宮(匂宮)と女三宮腹の若君(薫、実は柏木の子)が当代きっての貴公子との評判が高い。
源氏が他界してからというものの、六条院は火が消えたような寂しさとなっていた。夕霧は父が愛したこの屋敷が荒れて行くのを憂えたことから、落葉の宮を一条の屋敷から移り住まわせる事に。その甲斐あってか、明石の中宮の娘・女一宮が亡き紫の上を偲び、春の町で暮らすようになり、時々ではあるが、二宮が寝殿を使うようになったことから、六条院は再び賑わいを見せるようになった。
匂宮は元服して兵部卿となり、紫の上の二条院を里邸としている。夕霧は匂宮を婿にと望みもするが、自由な恋愛を好む当人にはその気がない。その夕霧は、落葉の宮を六条院の冬の町に迎え、三条殿に住まう雲居の雁のもとと一日交代に月に十五日ずつ律儀に通っている。夕霧は娘の中で一番美人と誉れ高い藤典侍腹の六の君を、落葉の宮に預けて教養の豊かな女性に育てようとしている。
六条院は、今は明石の中宮の子たちの大半が住んでいる。夏の町に住んでいた花散里は二条院の東の院へ、女三宮は三条宮へそれぞれ移っている。
一方薫は、冷泉院と秋好中宮に殊更に可愛がられ育てられ、元服後は官位の昇進もめざましい。しかし、漠然ながら自分の出生に疑念を感じていた薫は、人生を味気なく思い、悶々と出家の志を抱え過ごしていた。
不思議なことに、薫の体には生まれつき仏の身にあるといわれる芳香が備わっていた。匂宮は対抗心から薫物(たきもの)に心を砕き、このため二人は世間から「匂ふ兵部卿、薫る中将」と呼ばれる。世間の評判はこの二人に集中し、娘の婿にと望む権門は多いが、匂宮は冷泉院の女一宮に好意を寄せており、厭世観を強めている薫は思いの残る女性関係は持つまいとしている。
薫20歳の正月、夕霧は六条院で賭弓(のりゆみ)の還饗(かえりあるじ)を催した。匂宮はもちろん、薫も出席し、華やかな宴となる。

平安時代と香

平安貴族は香を楽しんでいます。色々な香りの香木を合わせてたいています。香の文化は仏教からきたものです。仏教の発祥のインドでは香をたくと心を清浄すると言われ、仏前で香をたき花や灯明を供することとなってます。

現代、仏前で線香をたき、花やお供えをするのは「供養」の基本になっています。

平安時代は「平安」の時代ではなく自然災害や疫病などの蔓延など不安なことが沢山起きており、そのため陰陽師による祈祷や占いなどが頻繁に行われていることが書かれています。それだけ不安な時代だったようです。

宮中の人々は、「出家」で心の安定を求めると言うことが描かれています。そこには「無常感」があり、繁栄は、いつまでもつづくことはなくいつか滅びるであろうという日本人に流れる考え方が色濃く源氏物語の中で書かれています。

西洋と日本人の考え方の違いは、西洋の考え方は「滅びない永遠を求める」考え方で日本は「自然の流れに任せ、良い時も悪い時もある」と言う考え方なのでしょうか?

香はこうした仏教心とも結びつきながら「薫物合わせ」という遊びが行われています。江戸時代初期には源氏物語を味わう優雅な遊びとして「源氏香」というのがありますね。

「匂兵部卿」は香漂う二人の人物を中心とした宮中の様子が描かれています。匂い漂う二人に宮中の将来を託したいとの思いがこの帖で描かれているのでしょうか?

現代社会も源氏物語の社会と対比しても当時と比べ科学は比べ用がないくらい進歩いていますが、自然災害や戦争など不安は強まっているように思います。AI・人口知能など科学進歩に伴う不安も生まれ、伸びていくもの、滅びていくものなど現代の「無常感」を感じます。

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