「この世界の片隅に」ノベライズを読む

 ノベラライズ 「この世界の片隅に」

「この世界の片隅に」の劇場アニメ記憶に残るアニメでした。多くの方々に共感されている理由もわかるような気がします。

この映画については、片淵監督は「当時の状況をリアルに描いた」と言われ当時の庶民の暮らしがリアルに伝わってきますね。

「この世界の片隅に」は戦前に広島を舞台にした主人公のすずを中心に戦争、原爆投下という時代の中で人々の暮らしや心情が綴られています。戦争や原爆で一瞬にして、町や村が破壊され、今までの暮らしが全く変わってしますことは人が生きる上で耐えがたいことだと思います。

ノベライズの「この世界の片隅に」を読むと映像とはまた少し違ったものが伝わってきます。(原作はこうの史代、ノベライズは蒔田陽平)

いつの時代でも食というのは生きるために大事なことですが、この時代の食についても書かれており食からの視点で大変興味深く読みました。

『昭和8年12月22日から始まっていきます。すずは9歳で。大きな風呂敷包みを背負い海辺の道を歩いています。風呂敷包みの中身は「海苔」でお使いで料理屋に配達に行く途中です。すずの家は海苔作りの家庭なのです。

海沿いの道を歩ていると艪をこいだ年老いたじゃり船の船頭から「おおーいどこに行くんか」と声をかけられます。中州の先まで乗せてやると声をかけてきたのです。すずは船に乗り込み行儀よく座ると、すずの行儀の好さに口元が緩みます。』

この最初のこの一文から当時の家庭や町の人々の心根がわかるような気がします。当時の家庭は子供であっても家業のお手伝いは当たり前で、そんな地域の子供にやさしく接する大人たちが多くいたと思います。ここからでも庶民の暮らし、日本の原風景が想像できますね。

すずはサンタクロースは知らなかったのですが、白いひげをつけた人もいます。ショーウインドウには大きなクリスマスツリーが赤や青の電飾を光らせています。商店街も賑わいを見せワクワクとした気分になっています。

チョコレート10銭、キャラメル大箱10銭、小箱5銭、あんぱんなども並びお土産は何をしようかと悩みます。

(当時は、クリスマスやチョコレートなど新しいものが取り入れられる時代で商店街も賑わいを見せ華やいだ活気がある町だったようです。)

昭和19年2月23日、すずは見合いをして相手も良く分からないまま呉市に嫁いでいきます。夫の周作は海軍の軍法会議所で録事の仕事をしている人物でした。

(当時は見合いして気持ちも確かめずに親の言いなりで結婚するということが多くあったようです。)

ここからすずの新しい人生が始まっていきますが、嫁ぎ先の姑や小姑との関係や近所付き合いなどが描かれていきます。

家事全般を担い、食事づくから選択などこなし、自分の趣味の絵も仕事の合間に書きます。水は井戸水で天秤棒で桶にいれ台所まで運ぶことなどの仕事もありました。

(当時は戦争が一段と激しくなって行く中でも日々の暮らしが描かれています)

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食事風景

①嫁ぐ前には、ぶっかけソーメン、ミョウガと小なすの浅漬け、小イワシの煮物、わけぎのヌタなどがテーブルに並び、井戸水で冷やしたスイカを家族で和やかに食べる様子が現わされています。

 ぶっかけソーメン

 茄子とミョウガの浅漬け

 小イワシの煮物

②結婚式の披露宴で出されたのは、巻寿司、尾頭つきの鯛の塩焼き、酢ガキ、煮しめ、吸い物でした。

③戦争が激戦になる頃の食べ物は配給制度となり十分な食べ物を手に入れにくくなっていきます。

◎干柿、大根の味噌汁、炒り豆

◎瓶の中の玄米突きで精米を行う

 瓶つき精米

◎汁用の煮干しの頭取りと腸とり

◎配給所で種もらった小松菜の種を播く野菜の栽培

◎配給はイワシの干物4匹・・・・菜っ葉だけよりもまし

◎自由販売の豆腐屋・・・卯の花(おから)

◎ハコベ、スギナ、タンポポ、カタバミなどの野草摘みと調理

 ハコベ

 スギナ

 カタバミ

◎イワシの干物と卯の花

◎馬鈴薯、大根、サツマイモ、小麦粉、梅干し

すずは近所から料理のレシピを聞き作ることにします

<献立>

(昼食)

①さつまいもを切って蒸す。

②スギナは軽くゆでて水に晒して刻む。

③小麦粉とおいもをスギナにつき混ぜて、平たく丸める。

これでお昼のいも餅の出来上がり、余りたるは干して保存すべし。

(夕飯)

①大切なお米は五倍の水薄めてお粥さんにすべし。三十分ほど炊いたあと馬鈴薯の」乱切りを加えて、さらに十分。続いてハコベラのざく切りをくわう。

②大根の皮、タンポポの根を千切りにして、砂糖と醤油で煮る。そこにタンポポの根のざく切りを加え、卯の花に混ぜ、さらに炊く。

③大根は薄く切りて塩で揉み、カタバミを混ぜる

④イワシの干物は、梅干しの種を入れた水を煮立て中に入れ、煮汁をかけながらグツグツと煮る。仕上げに塩で味を調える。

忠臣楠正成公が籠城に耐えうるためぬ発明した食料増量法・・・まずは米をよーく炒る。そこに三倍の水を加え、弱火でじっくりと炊き上げるべし。

節米しても、燃料を無駄にしてもつまらない。ここは大日本帝国の利器、火なしコンロに任せて朝を待つ。

火なしコンロとは調理の途中の釜を火から下し、暑い内に丸めた紙屑やもみ殻などの詰まった布団で覆い、余熱で調理するというものである。

朝ご飯・・・夕べの残りの煮魚の汁にスミレを加え、味噌をいれてひと煮立ち。

ご飯を再び火にかけ沸騰させておく。さすれば見事にかさを増した山盛りご飯の出来上がり。楠正成公の南公飯!

*家族の一言「まずい」で二度とこの料理はすずの家の食卓には上りませんでした。

闇市

すずは配給だけの食料では食べ物が不足ですので闇市も利用しています。

◎ヤミ市・台湾米、内地米、砂糖は配給の50倍以上の価格、一斤 二十円、生活費25円とかなり高いものを買うことになっています。

「この世界の片隅に」がドラマ化

2018年の夏に実写ドラマ化されるようです。どんなドラマになっていくのか見たいと思います。

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